入院を経験された方はご存知だと思いますが、昔に比べてずいぶんと短い日数で退院させられると感じられるのではないでしょうか。
こんなに早く退院させられて大丈夫なのかと不安を感じながら転院や退院をした方も多いのではないかと思います。
その理由の一つとして医療技術の発達によるところがあります。
かつてはメスで体を切り開くなくては出来なかったことが内視鏡、カテーテル、腹腔鏡など、切り開かなくても、できる手術の数が飛躍的に増えた結果、入院日数を短縮することが可能になったことが上げられます。
そしてもう一つの理由として年々増え続ける医療費の削減に向けて国が診療報酬のシステムを変えたことが上げられます。
入院して2週間を過ぎると診療報酬がガクンと下がる
1日の入院基本料にプラスされる加算点は次のようになっている。
1日(1万5660円)入院して最初の2週間は高い診療報酬がつくが、段階的に引き下げられ、30日を超えると加算がなくなる。
さらに、特別な事情がないのに、91日以上の長期入院をしている場合は、1日あたりの診療報酬が9390円 に引き下げられる。
2週間以内に退院させて新しい患者を受け入れるのが病院にとって一番儲かるシステムになっているのです。
長くいてもらっては困るので早期退院を促すのです
3ヶ月を過ぎると病院に支払われる入院医療報酬が極端に減ることになる制度になっているため3ヶ月以上入院させていると、病院は経営が成り立たなくなる制度になっているのです。
その結果それぞれの病院が入院期間を短くしようと努力した結果、平均在院日数は減少していますが、再入院率が増加しているというデータもあります。
3ヶ月を過ぎると次の病院を探さなくてはならず病院をたらい廻しにされるのです。
入院させてもらえればまだいい方で直る見込みのない病人は受け入れてもらえません。
なぜなら病院は直る見込みがある患者を治療するところで治る見込みがない人を入れるところではないということです。
転院を進められるか、自宅で家族が面倒見るかホスピスを勧められます。
2006年度の診療報酬改定によって,病院は高齢者が長居できる場所ではなくなりました。
新たな治療項目がなくなったり,それ以上回復が見込めなくなれば,行き場があろうがなかろうが,病院はシビアに退院を迫ってきます。
在宅医療の問題点
病院入院の長期化による医療費の増大・財政の圧迫削減するという点から国も在宅医療の拡充に力を入れています。
しかし国の思惑にもかかわらず、現在の在宅医療の普及状況ははかばかしくありません。
在宅医療は患者の容態の急変などに迅速に対応するためには、医療機関側で基本的に24時間対応する体制が必要となってきますが、開業医に365日年中無休で即時の往診を求めるのは不可能なことでしょう。
複数の医師や看護師がチームで組織的に動く体制の拡充が必要なのですがなかなか進みません。
長期の入院も可能であった療養型の病床も,2012年度には38万床から15万床(医療型のみ)に大幅削減されてしまいます。
在宅医療ということになれば家族が交代で介護を出来るゆとりがあればよいのですが、高齢となった夫や妻ただ一人、あるいは子供一人だけで介護を行わなければならないような状況であった場合、一歩間違えると、介護者自身が体調を大きく崩したり、あるいは精神に変調をきたしかねない危険性があります。
長期入院が予想される高齢者には医療においてますます厳しい現状になって行くようです。
人は生まれてきたときから死に向かって歩いている。人は必ず死ななければなりません。誰しも迎える人生の終焉。
あなたはどう迎えるか考えたことがありますか。
周りに迷惑をかけないで人生に幕を引く、どのようにしたら良いのでしょう。