褥瘡(床ずれ)が出来ジュクジュクした滲出液が出ている場合、皮膚を感想させるのと乾燥させないで湿潤したままにしておくのとどちらが治りが早いと思いますか。
一見乾燥させた方が治りが早いように思いますが、それは間違いです。
少し前まではドライヤーで乾かしたり、日光浴をさせたりして一生懸命乾かしていましたが、現在では湿潤環境で治癒を促進させるという湿潤療法が定着しつつあります。
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ドライヤー、日光浴などで創部を乾燥させることは、再生組織の再生を著しく遅らせ治癒の遅延につながります。
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以前はマッサージをして血流を良くして発赤を消していた。
今は、少し圧迫して発赤が消退するならマッサージはしない。 -
化膿していない創は、洗浄が十分であれば消毒の必要はありません。
消毒液を使用すると再生しつつある人体の細胞を殺すことになり、かえって治癒を遅らせます。
湿潤療法とは傷口を乾燥させない、消毒液は使わない、ガーゼは使わないという療法で傷口に潤いを持たせた状態で、早く、痛くなく、そしてキレイに治す治療法です。
昔は常識とされていたことが今では非常識となってしまっているエビデンスが多々あります
日本褥瘡(床ずれ)学会などでは新しい創傷治療としてすでに湿潤療法を取り入れており、確実に普及し始めています。
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褥瘡を発症させない、予防のポイント
1)体位変換
褥瘡(じょくそう)は長時間同じ部分が圧迫されることが原因で起こるため、定期的に体位変換を行うことで予防できます。
2)栄養管理
低栄養状態になると筋肉の構成成分であるタンパク質や、圧力を分散させてくれていた脂肪が、不足しているエネルギーを補うために使われてしまい、骨が突出してしまうことにつながります。
3)スキンケア
尿や便失禁により肌がふやけてしまうこと、尿や便の汚れよる皮膚のただれなどから褥瘡へ発展してしまうこともありあます。
また、皮膚の乾燥も褥瘡の原因因子となっているため、スキンケアが予防に効果的です。
予防に於けるスキンケアとしてドレッシング材を活用する
ドレッシング材とは湿潤療法に用いられる保護テープのことで、創を覆うことで「湿潤環境」を作り、、褥瘡の予防にも効果的です。
予防に効果的なドレッシング材(発赤や水疱)
ポリウレタンフィルム・ドレッシング材
さまざまなドレッシング材がありますが、褥瘡の予防に特に効果的なのが衣類との摩擦を軽減するすべり機能付の「ポリウレタンフィルムドレッシング材」が有効です。
傷から出てくるジクジクした浸出液がほとんど出ていない状態で、皮膚の一部が赤く炎症を起こす発赤や水膨れのような水疱の保護や摩擦による褥瘡(床ずれ)の予防に適している。
片面が粘着面となっている透明なフィルムで,水蒸気や酸素が透過でき,中が蒸れないようになっている。
透明なフィルムで水は通さないが水蒸気や酸素は通すため張った部分が蒸れない 蒸れない=市販の絆創膏を指に巻き1日してはがすと指がふやけるがポリウレタンフィルム・ドレッシング材を指に巻いても指はふやけない。
ずれが褥瘡の発生要因
体内の組織に対する圧力とともに皮膚表面の摩擦や皮膚組織を引っ張ることによって発生する「ずれ力」によって血管のつぶれが褥瘡の原因となる血流不足を引き起こします。
予防するためには「ずれ力」を緩和せせること、すなわち皮膚表面の摩擦対策が有効なひとつの方法であり、日本褥瘡学会編 褥瘡予防管理ガイドラインでも予防のためにすべり機能つきのフィルムドレッシング材が推奨されています。
予防に効果的なポリウレタンフィルム・ドレッシング材
好きな長さにカットできるロール状の透明粘着フィルムです。
amazonカスタマーレビュー
父の床ずれがひどく、自宅介護を始めるにあたって看護師さんに用意してくださいと頼まれました。床ずれなどにはかなり効き、3週間程度で褥瘡が治りました。 購入後、薬局などで値段をチェックした所、こちらは1500円近くお安く買えてとても助かりました。
褥瘡が発症し、水疱が破れたらプラスモイストTOP
滲出液の多い床ずれなど、紙おむつなどに貼り付けて使うことが出来る。
プラスモイストは湿潤治療のために開発された商品で以下のような特徴がある。
- 創面に固着しない(ガーゼは剥がすときに再生してきた皮膚を剥がしてしまう、だから痛い)
- 浸出液の吸収能力がある(余分な浸出液を吸収する
- 創面を乾燥させない(適度な湿潤環境を保つ)
創傷治療材のプラスモイストには素材に「厚み」がありませんので、褥瘡などのように浸出液が大量の場合には頻回の交換を必要とします。
その点を改良したのが、「プラスモイストTOP」です。
片面が粘着面となっているため吸収力の高い二次ドレッシング材に接着することにより、大量の浸出液の際に効力を発揮します。
二次ドレッシング材として吸収能のみに特化したズイコウパッドがありますが、紙オムツ、ガーゼ、ペットシートなどでも充分代用可能です。
また貼り付ける二次ドレッシング材を変えることにより吸収量をコントロールすることが出来るので量の多い浸出液に対応することが出来る。
※ドレッシング材とは創傷からの滲出液や膿などの吸収の目的で傷を覆う被覆材のことである。
接着させることが出来るので以下のようにアイデア次第で床ずれ以外の創傷治療にも使えるので利便性が高い。
詳しくはこちらからズイコウメディカル公式サイト
以下の画像はプラスモイストTOPには片面に接着面があるのを利用してマスクの裏側に貼り付けアトピー性皮膚炎を治療した例である。
▼アトピー性皮膚炎(33歳男性)
詳しくはhttp://www.wound-treatment.jp/next/case/hikari/case/858/index.htm
- マスク装着 4月30日
- 5月7日
プラスモイストTOPとワセリンの併用でほぼ1週間で完治した。 この方法は写真の男性自信が考案した方法であり、アイデアものだ。
2001年ごろから形成外科医の夏井睦医師が提唱し、近年医療現場でも賛同する医師らによって急速に普及が図られ現在は湿潤療法用の医療用具が各メーカーから多数発売されています。
またそれに伴い専用の治療剤も手軽に購入できるようになって来ているので上手に活用することで早く、きれいに治すことが出来ます。