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差額ベッド代で家計が破綻する。増え続ける差額ベッド代のトラブル

      2015/12/22

差額ベッド

 

東京中央区に「聖路加国際病院」というのがある。

もしもあなたが都内に在住していて突然の急病で救急車を呼び、たまたまこの病院に運び込まれたとしよう。

入院から半月たち支払いの請求が回ってきてあなたはその高額な請求額を見てきっと驚くことになる。

1日分の差額ベッドの請求額が32,400円となる。しかも最低の金額でだ。
1ヶ月入院したら972,000円、3ヶ月で2,916,000円になります。
医療費や食事代、雑費は別です。

しかもこれは最低の値段です。特別個室で一泊108,000円というのもあります。

しかしこの聖路加国際病院に関しては病院が不当な差額ベッド代の請求をしているということではない。

なぜならここの病院では快適な医療空間と最高の医療技術を提供する代わりにその分費用はかかりますよと対外的に積極的にPRしている。

その経営方針は世間でもある程度認知されているのでそれを知らなかったあなたが無知だったと言う事になります。
個室料金についてもむしろ珍しいくらい積極的に開示している。

「入院費用についての案内」 聖路加国際病院ホームページ

入院する方も個室料金の金額については了解しており、望んで入るのだから何も問題はない。
富裕層ご用達の病院なのだから。

Photo: undefined by Tax Credits

 

むしろ一般病院での差額ベッド代のトラブルが急増している

個室料金のことで、たらい回しにされた経験をされた方のブログ記事がありましたので一部引用させてもらいます。

急病になり駆けつけた救急士に経済的に苦しいので差額ベッドのかからない病院をお願いして救急救命士さんに電話でアタリを付けてもらったらとアットいう間に7件の病院から断られた言うのだ。

全て同じ理由で「現在、大部屋が塞がっているので、個室オーケーの患者さんでない限り受け入れられません」というのが理由だそうだ。

どこの病院も大部屋は一杯、個室でないと受け入れてもらえないとの回答。

よくニュースで出てくる「急患たらい回し」という状態が、自分の前でまさに起こっている。
それは医師が足りないからでも、急病人が続出しているからでもなく、「個室料金が払えるかどうか」の問題なのである。
こんなの、格差社会が進行したらどうなるんだろう。

差額ベッド代がかかるのは本人が希望した場合のみのはずだが

厚生労働省の見解では
患者自ら特別室を望んだ場合となっている。つまり患者本人が望まなければ払う必要はないとなっている。

差額ベッド代については厚生労働省から各医療機関に対して以下のような通達が出されている。

(平成9年3月14日 保険発第30号)

患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。

したがって、特別療養環境室へ入院させ、患者に特別の料金を求めることができるのは、
患者側の希望がある場合に限られるものであり、
救急患者、術後患者等、治療上の必要から特別療養環境室へ入院させたような場合には、患者負担を求めてはならず、患者の病状の経過を観察しつつ、一般病床が空床となるのを待って、当該病床に移す等適切な措置を講ずるものであること。

特別療養環境室への入院を希望する患者に対しては、特別療養環境室の設備構造、料金等について明確かつ懇切に説明し、患者側の同意を確認のうえ入院させることこの同意の確認は、料金等を明示した文書に患者側の署名を受けることにより行うものであること。

 

医療機関が特別室に患者を入れて「差額ベッド料」を徴収できるのは、患者が希望し、納得した場合のみだということがはっきりと謳われている。
だから病院側は何が何でも同意書が必要なのだ。
逆を返せば同意書があれば患者本人が望んだ事になる。以下のようなケースだ。

本人は希望していないのにいつの間にか希望した事になっている

もしあなたが緊急入院する必要に迫られたとき病院側から大部屋が空いていないので個室を勧められ同意書にサインを拒否した場合、おそらく他の病院を当たることを勧められる事になるでしょう。

うちでは引き受けられないのでよその病院へどうぞと言うことです。
入院した後で揉められるよりは他所へ行ってもらったほうが良い、またこれを言えばサインをせざる得ないだろう、ということも推測されます。

救急車で運ばれているのだから緊急の処置が必要な患者側にしてみればその場で「NO」と言えるでしょうか。

殆どサインしてしまいます。

そのときの患者は弱い立場に立たされているわけですから同意しないわけにはいかない状態に追い込まれてしまいます。

本来は差額ベッド代の支払いは「本人が希望した場合のみ」が原則のはずだが現実は望んでいないのにサインをしてしまえば本人が希望したことになってしまいます。

その結果、患者が知識が無いことをいいことに気が付かなければいいと思って「差額ベッド」の部屋に押し込んでしまうことが行われ、退院時にトラブルになるケースが増えている。

その時点で本当に空いていないのか、どうかは患者は調べる術はない。

トラブルの根本原因はゆがんだ診療報酬の体系にある

その理由の一つとして、国が診療報酬を下げる政策に踏み切った事にあります。

民間病院の2割が赤字経営となっておりそのためどこの病院も経営状態は厳しいものになっています。

診療報酬は診察や手術、検査などを行った対価として、病院や診療所などが受け取る医療費のことであり国から価格を決められている

それに対して「差額ベッド」というのは病院の自由裁量で価格が決められる利益を上げるのに最も効率の良い方法なのです。

国立大学の法人化を機に、収支改善を求められた東京大学医学部付属病院も、「1045床」のうち「471床」を差額ベッドにして稼働率を上げ、増収を実現した例もあります。

病院が患者が望まないのに特別室へ入れようとして同意書にサインを求めてくる理由が見えてきます。

どういう状況であれ特別室へ入室するという同意者にサインがあれば後でトラブルになった場合「同意されているじゃありませんか、同意書にサインがあるということはあなたが望まれて入ったと言うことですよね。
当病院には責任はありません」と言われるのは目に見えています。

つまり国の立場からすれば出すものは今まで以上に絞りますから、取れるところからとって利益を上げなさいよ、ということです。

これだけ問題になっていることは厚生労働省の方でも把握しているはずなのだから「大部屋が空いてないのは病院の都合によるものである」とハッキリ明記すればよさそうなものだがその点については明記されていない。

あいまいにしておく必要があるのです。

 

平等な医療を受ける権利を失う事になる

差額ベッド

高齢化が進み年金のみで暮らしている人やまた非正規雇用で働く人が「1900万人」を超えて所得格差が広がり経済的に余裕のない世帯が増えている。

場合によっては差額ベッド代の支払いをカードローンで借金をして返済しなければならない人もいるだろう

弱い立場にある患者から「差額ベッド代」を取らなければ経営が成り立たないような診療報酬制度はゆがんでいるとしか思えない。

高額な差額ベッド代を払えないために治療を断念するケースも起こりえるなど患者の医療を平等に受ける機会を損ねることにもなりかねない。

Photo: undefined by Colin Harris  ADE

差額ベッド代の支払いはどこまで拒否できるのか

では同意書があれば返還請求は100%不可能かと言うとそんなことはありません。

厚生労働省の通達文書によると治療上の都合や病院側の都合の場合には払わなくても良いことになっています。

1、書面での同意が無い 同意書による同意の確認を取っていない。

2、救急患者等,治療上必要と医師の判断で特別療養環境室へ入院させた場合には患者に負担を求めてはいけない。

3、MRSA等に感染している患者を入院させる場合、主治医等が他の入院患者の感染を防止するため、患者の選択によらず入院させたと認められるような場合。

現実的にどのように対応すればよいのか

サインをする前に経済的に支払える余裕が無いとハッキリと告げ病院と相談してみましょう。
値段を下げてもらえる場合もあります。
ソーシャルワーカーがいる病院なら病院と直接交渉する前に相談してみるのもよいかと思います

入院する前にあまり事を荒げたくないときには同意書にとりあえずサインをして署名の横に「大部屋希望」と一言書き添えておきましょう。

本人が望んで特別室へ入ったのでは無いという証になります。

とりあえず無事に治療を終えどうしても納得がいかなければ支払いの段階で一筆書き添えた同意書のコピーと厚生労働省からの通達文のコピーを添えて再度交渉します

病院側は世間体上あまりトラブルは起こしたくないので、厚生労働省の通達文書を見せただけで返還されたケースもあります。

不当な差額ベッド代を取り返すという行動を起こすことは患者側にも覚悟がいります。

それは今後この病院には二度とお世話にはならないという覚悟が必要です。

医療機関関係のトラブルなどで困った場合に相談に乗ってくれる窓口があります。
どうしても解決できないときには相談してみましょう。

社会保険に加入している場合 各都道府県の地方社会保険事務所
国民健康保険に加入している場合 都道府県の国民健康保険課
厚生局に電話する 関東信越や、近畿などのエリア毎に「厚生局」という国の機関があります。
 

厚生局は厚生労働省の地方支部支局の1つです。
保険医療機関等の指導監査も行っていますので 入院する病院の所在地を管轄する厚生局に電話をして、事情を説明します。
認められれば病院に指導がいきます

地方厚生局一覧はこちら
http://kouseikyoku.mhlw.go.jp/

民間の相談組織もあります。
(医療法の消費者組織)COML は「1990年9月、医療を消費者の目で捉えようと1990年9月に活動をスタートした市民中心のグループで
医療にかかわる相談に乗ってもらえます。
(差額ベッドの電話相談だけでも年間150~200件あるそうです。)
http://www.coml.gr.jp/

突然の怪我や病気は年齢に関係なく誰も身の上にも起こりうることです。
もしかしたら明日あなたが救急車で運ばれて同意書にサインを求められる立場になるかも知れません。

いざというときのために、普段からあなたが住む近くの救急病院のおおよその差額ベッド代の金額を調べておくことも必要なのではないしょうか、

 

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