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今までのアレルギー医療の常識は間違っていた-NHKスペシャル

      2016/05/01

アレルギー

 

アレルギーの予防に対してこれまでは妊娠中や授乳中はアレルギー食品を避ける事が常識とされてきた。
また、「腸が未熟な幼い時期に離乳食などでアレルギー食品を食べさせると、アレルギーを発症しやすくなる」というのがこれまでの常識とされていた。

だがこれが間違いだったとNHKスペシャルで放送された番組「新アレルギー治療 ~鍵を握る免疫細胞~」が大きな反響を呼んでいる。

アレルギー食品を妊娠中に避けていたことが逆にアレルギーの発症を促進していたと言うのだから驚きだ。

20世紀後半から爆発的に増えたアレルギーはある意味謎の病だった。
発祥のメカニズムがちゃんと解明されないのに患者はどんどん増える。
そのため手探り状態で築き上げられてきた今までの対策の常識が間違いだったことを示す新たな研究成果が次々と発表されている。

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「Tレグ」細胞の発見

そしてそのカギを握るのが大阪大学の免疫学者の坂口志文教授が発見した「Tレグ」と呼ばれる新たな免疫細胞です。

この細胞の働きが分かったことで、アレルギー発症メカニズムの解明が進み、完治を目指す根治療法の研究が世界中で始まっています。

国際情報サービス企業のトムソン・ロイターは、今年あるいは近い将来ノーベル賞を受賞する可能性が高い研究者を発表した。
その候補者の中に坂口志文教授が、「制御性T細胞と転写因子Foxp3の特性と機能に関する独創的な発見」で医学生理学賞の有力候補者に挙げている。

免疫とは様々な種類の攻撃細胞が体に入ってきた異物をチームプレーで攻撃する仕組みである。
坂口教授はその中に攻撃を止める役割を持つ細胞がいることを発見した。

それがTレグと呼ばれる制御性T細胞である。

アレルギー

 

この細胞がアレルギー物質が体に害がないことを判断し、攻撃を止める指令を出していることが分かり、この免疫細胞をうまくコントロールすることができれば免疫力を低下させることなく、アレルギーを抑えられることが明らかになってきました。

アレルギーとは、そもそも攻撃する必要がない物質であるにもかかわらず対象を必要以上に攻撃することで起こります。
過剰な防御反応が『アレルギー』なのですが、この過剰な防御反応を抑える働きをするのがTレグ細胞なのです。

つまり、Tレグ細胞が多ければ攻撃細胞を抑え込めるため、アレルギーになりにくい。
Tレグ細胞が少なければ攻撃細胞を押さえ込めないため、アレルギーになりやすいということになります。

このTレグ細胞の発見により、今後数年の間にアレルギー対策が劇的に進化するかもしれないと期待されています。

しかし、アレルギーをコントロールするTレグ細胞が現代の都会人は減少していると言われています。

 

なぜ現代人はTレグ細胞が少ないのか

アレルギー Photo: undefined by City of Vancouver Archives

 

その原因は環境がキレイすぎることにあります。
環境を清潔にしすぎるために、子どものアレルギー耐性が弱くなっている。

1歳までに様々な細菌にさらされた子どもは、3歳の時点でアレルギーや喘息を発症するリスクが格段に低いことが分かってきた。

免疫システムが完成する1歳前であれば、不潔が功を奏するそうだ。

その理由は、免疫システムが作られる過程にある。
免疫のシステムは菌などの異物(抗原)に遭遇するたびに、それぞれの抗原ごとに最良の攻撃方法を学習し、抗原を記憶し覚えていきます。

出合う抗原が多ければ多いほど獲得免疫のレパートリーが拡がり、能力はパワーアップしていくわけです。

特に、子どものうちにできるだけ多くの抗原にさらされると獲得免疫はどんどん強くなって生きます。
そのため過去に出会った異物に対して再び遭遇すると、その抗原を直ちに認識し、素早く、特異的に反応します。

つまり学習能力があり、外から侵入してきた異物一つ一つに対してどのように対処したらいいのか記憶させておくことができ、すばやく対応させることができるのです。

その例として、水ぼうそう(水痘)やはしか(麻疹)は、一度かかると二度とかかりません。
大人になって「はしか」や「水ぼうそう」にかかるとひどい目にあうというのは過去の記憶がないため、抗体が作られなかったために免疫システムが働かないからです。

先進国で見られる過剰なまでの消毒対策や、抗生物質や抗菌剤の多用は子供の細菌への接触を減らしてしまい、正常な細胞にまで過剰に反応する「自己免疫疾患」に陥りやすい体質になるそうだ。

そのため子供の環境を清潔にしすぎるとアトピー性皮膚炎などのアレルギーになりやすいのだ。

正常な免疫システムが作られるためには少し汚いくらいが丁度いいようです。

例えば、北米で農耕や牧畜によって自給自足の生活を営むアーミッシュには、アレルギーが極端に少ないのですが、その理由はこのTレグが体内に多いためと考えられています。

Tレグは、免疫による攻撃(=アレルギー)を抑え込む役割を持っており、アーミッシュは幼少期から家畜と触れ合い、細菌を吸い込んでおり、その結果、Tレグを多く持つようになったと言われています。

 

妊娠、授乳中にアレルギー食品を避ける必要はない

アレルギー Photo: undefined by Alagich Katya

 

すでにアレルギーを発症している場合には、もちろん、アレルギー食品を不用意に食べることは絶対に避けるべきなのですが、予防という段階で言うならば、妊娠中、授乳中の女性はアレルゲンだからと言って、特定の食品を避けることなく、なるべく多くの食品をバランスよく食べたほうがよいのです。

離乳食に関しても、初めてその食品を口にする前に、すでに発症している可能性もあるので、ごく少量から始める必要はありますが、異常が出ない限りは、小さな頃から多くの食材を食べさせてあげたほうがよい。

それが実はアレルギーの効果的な予防になると研究者たちは提唱し始めています。

アレルギー予防に関しては、食事の制限には意味はなく、乳児湿疹などの肌荒れのほうが大問題だと分かってきました。

ピーナッツオイル入りのスキンクリームを使用した赤ちゃんが、次々とピーナッツアレルギーを発症するという事件がロンドンで発生!
研究の結果、腸ではなく皮膚からアレルゲンを吸収すると、Tレグではなく、異物を攻撃する免疫細胞が作られ、アレルギー発症の大きな原因になるとのこと。

食物アレルギーだけではなく、花粉症やアトピーに関しても皮膚からの侵入が大きな原因となっていることが分かってきました。

 

行き過ぎた除菌、抗菌志向は見直す時に来ている

1996年に日本全国で起こったO-157による食中毒発生によって、約1.5万人の感染者を出したことを覚えているかと思います。

しかし、このO-157は日本、米国、イギリスなど先進国でしか発生していないのです。
その原因は行き過ぎた清潔志向にあるといわれています。

アレルギーも、O-157も発症しているのは先進国だけなのです。あまりにも行き過ぎた清潔志向を今一度考えて見る必要があるのではないでしょうか。

 

NHKスペシャルで話題を呼んだ「新アレルギー治療」が書籍化

アレルギーの予防と治療をめぐる最先端研究に迫り、大きな話題を呼んだNHKスペシャル「新アレルギー治療」が『アレルギー医療革命 花粉症も食物アレルギーも治せる時代に!』として書籍化されています。

世界中の最新研究を丹念に取材し、アレルギーの予防と完治に向けた実践的な情報が詰まった一冊です。

【目次】
第1章 アレルギー患者のいないコミュニティーを追って
家畜との生活に秘密を発見
第2章 免疫の常識を大きく変えた「Tレグ」
日本人研究者が発見! 唯一の制御細胞
第3章 アレルギー予防の“常識”は間違いだらけだった!
根拠のない指針が患者を激増させたという真実
第4章 アレルギーの本当の原因に迫れ
「いつ」「どこから」入り込むかが分かれ道
第5章 アレルギーを完治させる! 驚きの最新治療法
体内の“天秤”をコントロールせよ!

アレルギーの新しい医療の常識に興味を持たれた方は一読してみてはいかがでしょうか。

 

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